序説

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添えた時間はほんの数十秒。 「ハァハァ」と息が荒くなっていく青年の額からは大量の脂汗が噴き出している。 私は『大丈夫ですか?』と声を掛け、その言葉に応えるかのように青年は一言、 「あ、あなた一体何者なんですか!?」 かなり疑わしい台詞だが青年の青ざめた表情から、もしかして本当に視えたのか?とも思える。 他にも何か言いたそうな表情をしている青年を尻目に私は、 『私は私ですよ。他の何者でもありませんから』という言葉だけを残してその場を立ち去った。 過去を視られるのは一向に構わないが、見ず知らずの人に未来の事までも指図される筋合いはない。 何故なら未来は自分で切り開くもの。 そう信じて、ここまできたのだから・・・
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