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「き、きっと私のせいだ……」
紙に書かれた文字を見た一ちゃんが俯きながらそう言った。
『一ちゃん…あなたのせいなんかじゃないから』
「でも……」
罪の意識にかられた一ちゃんを慰めるため、私は彼女の手を握ると一声渇を入れた。
『二三!顔を上げてしっかり前を見なさい!』
名前で呼ばれたことにより、一ちゃんの身体が一瞬ビクッとなったのが分かった。
「て、店長!?」
『ほら!ボーッとなんかしてないで、さっさと芹澤さんのところに行くわよ!』
「は、はい!」
『うん♪良い返事だ♪』
黒く淀んだ一ちゃんの瞳にほんの僅かであるが光が戻ってきたように感じた。そして、キッチンに残ってほしい旨を比女子に伝えた私は、一ちゃんと共に芹澤さんが居るであろう3階へとその一歩を踏み出したのである。
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