52人が本棚に入れています
本棚に追加
暗く重たい部屋に入ると、今までザァーザァーと激しかった雨の音が嘘みたいにピタリと止んだ。
すると、遮光カーテンの隙間から僅かではあるが日の光が差し込んできて、暗く重たかった部屋を明るく柔らかい部屋へと変貌させていった。
「て、店長!」
一ちゃんが何かを指差しながら私を呼んだ。
私は一ちゃんの指差す方向に目を凝らしてみた。
するとそこには丸く大きな塊が床に一つ。
でもそれが何であるか直ぐに理解できた。
『……せ、芹澤さん?』
体育座りで顔を埋めた状態の芹澤さん。
「眠ってるんでしょうか?」
『たぶんね…………んっ!?』
眠っていると思われる彼女を見て私は一つだけおかしな点に気付いた。
普通眠っていたとしても、口と鼻のどちらかで必ず呼吸をしている。つまり、呼吸をするってことは多少なりと身体は揺れたり動いたりするはずなのだ。しかし、今の芹澤さんにそれが一切見受けられない。
そう、ピクリともしていないのだ・・・。
最初のコメントを投稿しよう!