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私が恐る恐る芹澤さんに触れようとした次の瞬間、
〈ガバッ!〉
ピクリともしていなかった芹澤さんが急に顔を上げた。
『ひゃっ💦』と、思わず情けない声を上げてしまう私。
「あ、あれ? 一小路さん?それに一さん?
え、えっとぉ…二人ともこんなとこで一体どうしたんですか?」
『……はぁ。
もう!「どうしたんですか?」じゃないですよ!「どうしたんですか?」じゃ!
まぁ、何はともあれ無事で本当良かったです…』
「す、すいません💦この部屋に居たら何だか凄く眠くなっちゃったもんで……いつの間にか寝ちゃってました💦」
(眠ってた?あれが!?私にはまるで死んでるかのように見えたんだけど……気のせい?)
この時の私と一ちゃんはそんな芹澤さんの様子を気に留めているようで、実はそんなに気に留めていなかった。だってそれが、『もしもあの時、ああしておけば…』なんていう後悔に繋がるとは考えてもみなかったし、ましてや十数年後のとある場所で芹澤さんの御友人である井川 令美さんと再開して、その令美さんの口から芹澤さんについてのある衝撃的な事実を打ち明かされるなんて思ってもみないわけだし。
そして、そんな非現実的な話を聞かされた私達が絶句する姿をどのようにして想像しろというのか・・・いや、想像なんてできやしない。
なぜなら、十数年後に告げられる事実なんて、今の私達が知るはずもないのだから・・・。
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