第4層・CITY ゴールデン・ガール

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やがてその優越感になれてきたころ、わたしはM・ウイルス抑制剤を摂取しなくなり、それを裏路地で売りに出すようになった。ボランティア精神というやつだろうか。他人から搾取し裕福になった人間がなぜボランティアをするようになるのかを理解したわたしは、もう笑いがとまらなかった。 すっかり気持ちよくなったわたしは、娼婦を辞めて、これから第4層・シティで事業を行おうとする第2層・addressの田舎者共に融資をするようになった。そう、わたしがこうなるきっかけとなったものにわたしは成り下がった。 わたしが融資した人々は尽く事業が失敗し、残った多額の借金を返済するために、日夜働き続けた。わたしを裕福にするために必死で働く彼らをみて、感動することが唯一の楽しみとなったわたしは、進行する機械化を無視して、ひたすら愉悦に浸り、溺れ死ぬことを目標に生き続けた。 最期の日は突然だった。酸欠になったかのように強烈な頭痛と全身の痺れに倒れ、無事に溺れ死ぬことに成功した。
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