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ナウ・ダウンローディング
1時間は経っただろうか。もう帰りたかった。早く呼ばれたくて仕方がなかった。なにより、滝喜一は気が短い人間だった。
置いてある本は料理雑誌や絵本と興味を惹かれるようなものはなく、咳をする人やくしゃみをする人でここは空気がよくない。診察室からは大泣きする子供の声が聞こえる。毎年おなじのインフルエンザによって待桝クリニックは大変混雑していた。
1週間前に来たときは滝自身も完全にダウンしていたのでそんなことを気にする余裕などなかったが、登校許可証を貰いに来ただけの滝にこの空間、待ち時間は耐え難かった。
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