静かな物語

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「ああ、突然で驚きますよね。いまお時間は大丈夫でしょうか?」 「えっ……あのっ」 「5分も掛からないので……実はですね。このマンション内で殺人があったのですが、ご存知でしたでしょうか?」 「え?」 刑事はぺらぺらと汚いメモ帳をめくった。ぼくは、ただそれを黙って見ていることしかできなかった。 「昨日の1時半過ぎ。つまり深夜だね。このマンションの屋上で殺人があった。目撃者が一人だけいてね、なんでもアロハシャツを着ていたらしいが丁度その頃停電で防犯カメラには映ってないし、しかも、30分後には復旧しているから計画的な殺人だろうな。マンション内は真っ暗だったから犯人を見た目撃者も月明かりしか頼るものがなかったらしくてな。まあ、つまり犯人の顔もわからない。アロハシャツだけが唯一の証拠なんだが……。さて、そこにあるのはなにかな?」 刑事が指差すさきには電子レンジがあり、その上に綺麗に折りたたまれたアロハシャツが置いてあった。
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