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「あ!!」
赤ん坊を取り落としそうになるほどの痛みが夫人を襲った。
「奥様、もう一人います! 頑張って!」
「いや……もう……」
カロレッタはもう一人の侍女に赤ん坊を預けて再び夫人の手を握った。
「奥さま! 私を掴んでください、力いっぱい!」
「あああ!!」
そのお産は時間がかかった。朝焼けが空を染め、日の出に2番目の赤ん坊が生まれた。
医師が取り上げた2番目の赤ん坊もまた男の子だった。元気に力強く泣いている。
城中が兵たちの声で湧きたつのが聞こえた。
「奥さま、また男の子ですわ! まぁ、こちらも美しい…」
「目は? 目はどうなの?」
「ご自分でご覧ください」
布で包まれた男の子が一際大きな声で泣く。
つぶらな瞳は惹きこまれるような見事な青だった。
「きれい……」
その赤ん坊が一生懸命に手を伸ばす先には、赤い瞳の男の子がいた。
「奥様、お分かりでしょうが……」
「ええ、分かっています」
双子は不吉の前兆だ。ましてこの伯爵家に双子など生まれてはならない。
この肥沃な土地を狙って襲撃を受けることは多い。城は堅固で配下は強い者ばかりだが、常に列強の貴族、蛮族たちの脅威に晒されている。
温和なシルウェステル伯爵は戦いでは鬼と化す。城を、土地を、農民たちを守るために兵を率いて戦い平和を勝ち取る。
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