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ルクスが教えてくれることは、ノクスにいろんな好奇心をもたらした。その一方で、それは悪いことをしているような気がする。まるで、カロレッタとオードリーを裏切っているような。
「あまり知らない方がいいのかな……」
「何を?」
「いろんなこと」
「僕はなんでも、知らないより知っている方がいいと思ってる。ノクスもそうなってほしい」
「カロレッタはお話はしてくれる。僕にルクスみたいなことを教えないのはきっと意味があるんだよ」
「それでも知っておいた方がいい。そう思う。ノクス、必要なことだよ。見えなくてもいろんなものを触ったり、感じたり。色だってそうだ。見えないからって諦めることじゃない。覚えたろ? 赤や黄色ってどんな色?」
「赤は熱い色。黄色は元気になる色。青はすっきりする色だよね。そして緑はほっとする色」
「ほら! それだけでも違うと思わないか? 言葉を知ってるだけより」
ルクスの言うことが正しいのだと思う。今まで色という存在さえ知らなかった。それが今ではどんな感じなのか分かるようになっている。
「ね! 山っていうのを知りたい! この前お話の中で出てきた」
ルクスは根気よく、ノクスの分かる範囲の言葉を使いながらいろんなことを教えていく。兄弟はいないが、まるで弟を導くようなそんな気持ちを味わっていた。
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