418人が本棚に入れています
本棚に追加
辺りの敵を倒し、ルクスはエレナを追った。叫ぶわけには行かない。フェーレの丘に身を潜めながら向かう。
しかし……その道すがら、小間使いの死体を見つけた。
(エレナ!!)
妻を見つけなければ! ルクスは走った、丘につけばきっとエレナはいるはずだ。
そして、ラーナーの姿を見つけた。相当切り結んだのだろう、体中から血が流れ出ていた。その周りに二人の兵も倒れている。
(エレナっ!!)
変わり果てたエレナがそこにいた。ドレスが破れ、胸元が見えている。エレナの首からまだ血が流れていた。手にはしっかりと短剣が握られている。
一目で分かった。エレナは穢されるよりはと、命を絶ったのだ。その体を胸に抱き、ルクスはむせび泣いた。
後ろから近づく気配にすっくと立ち上がる。振り向きざま怒りに任せて、斜めに切り落とした。何度も滅多切りにする。
治まらない怒りの中で、エレナの手を持ち上げてキスを落とした。
(済まない、エレナ。後でちゃんと葬りに来るからな)
ルクスは城に取って返した。こうなっては城が危ない。父の隣に立たなければ。
最初のコメントを投稿しよう!