418人が本棚に入れています
本棚に追加
城に入りすぐに乱戦となった。ルクスの腕からも血が流れたが気にもならない。
「父上ーっ!!」
応えの無い父の姿を追い求めた。
「ルクス様っ! 城から落ち延びてください! 父上は私が探します、まずあなた様が先にお逃げくださいっ!」
「敵に後ろを見せられるかっ!」
「聞くのです!! もし、もし父上に何事かあればあなた様が伯爵です。私たちはあなたを失うわけにはいかないのです!」
必死の形相で頼むと言う家臣に、ルクスは頷いた。
「父を、頼むっ!!」
「お任せを!」
城を落ちようとしたルクスの頭に突然一つの顔が浮かんだ。
(ノクスっ!!)
地下への入り口に近づくと、それは開いていた。
「ノクスっ! 無事か!!」
「ルクス!!」
「邪魔だっ、どけっ!!」
「どきません、ノクス、逃げ……」
オードリーの声が途中で消えた。
「オードリー! どうしたの!? カロレッタ!」
カロレッタの声も聞こえない。
「こりゃ……」
赤々とたいまつが揺れている。
「美人じゃねぇか」
ノクスに手を伸ばそうとするその後ろから切りつけた。
「て…てめ…ぇ……」
そのまま倒れる男の体を飛び越した。
「ノクス! 僕と一緒に逃げよう!」
「ルクス? カロレッタは? オードリーは?」
最初のコメントを投稿しよう!