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   川に沿って上って行く。山の中に紛れ込めばこの暗さだ、見つからないだろう。  そう思った矢先に数人の男たちが行く手を阻んだ。 「どこへ逃げるんだ? 鎧を着てるってことは農民じゃねぇな」 そっとノクスを下ろした。 「僕の後ろにいて」 男たちに剣を向け対峙する。 「勇ましいじゃねぇか、どう見たって子どもなのに」  その時、月が雲間から姿を現した。 「ほお、これは!! なんとも色っぽい……」 男が見ているのはノクスだ。他の男たちも唾を飲んだ。 「よく見ろよ、この二人おんなじ顔だ」 「片方は女か? ずい分そそる姿だ」 座り込んでいるノクスは、着衣が乱れて薄い布地の胸元が見え隠れしている。 「こっちはやけに凛々しいな。お前ら双子だろ、妹を守る気か。……お前もいい顔をしてる」 「味見して叩き売ろうぜ、こりゃいい金になる」  ゾッとした、男たちの言う意味が分かる。自分とノクスをなぶりものにしてどこかに売り飛ばす気だ。 「戦え! 切り殺してやる!!」 近くにいる男の前に飛び出して、肩から剣を振り下ろした。ドォッと倒れる仲間に残った二人の顔に怒りが浮かんだ。  その片割れは強かった。隙が無い、踏み込めない。剣を音高く交えているうちにノクスの悲鳴が聞こえた。 「ノクス!」 「剣を捨てろ! こいつの首をへし折るぞ!」  振り向くとノクスの白い首が男のゴツゴツした手に絞められていた。頭がガクリと後ろに落ちる。 「やめろ!」 「剣を捨てろっ! もうこいつは死ぬぞ!」  ルクスの剣を持つ手から力が抜けた。後ろから、ガンっ!と頭を殴られる。 (のくす……) それは声になることなく、ルクスの体は倒れて行った……  
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