前編

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僕は君の涙を知っている。 僕は君がつくった笑顔も知っている。 だからマサキの事なんて忘れて、僕と一緒になって……何て言えない。 君がこうやって僕のもとに来るのも、マサキの事があるからこそ。マサキの事がなかったら君は僕と出会えなかった。 だから僕は君の事をひたすら待つ。 君が会いに来るのを。 君が僕を通してマサキの事をみているのは知っているよ。僕はそれでもいい。 でも、だからこそ、君が望む「いつかはマサキの隣に」という願いを、僕は聞きたくない。 君は泣いて、笑って、楽しそうに話していて欲しい。 指折り数えて、そのいつかを数える君の姿を見て何とも思ってないなんて思われているのなら心外だ。 君がいなくなると悲しむ人だって、困る人だっているんだろう。 マサキには確かに君しかいないのかもしれない。天涯孤独の孤児だったとは君から聞いた話だ。それでもまだ君は、待っているマサキのところに行くべきじゃない。 それに孫を連れてくれるんだろう。僕がその孫の顔を見るまではマサキと一緒になるなんてこと許さないからな!
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