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何年も、何年も、君だけの訪れを待っていたんだ。
昔の男の話を聞いて慰めてあげたのは僕だ。
そろそろ君は、僕の気持ちに気づいてくれてもいいと思う。
でも、そんな僕の願いは無謀だ。だって事実、君のシワの増えた顔や足が遠くなっている訪れを思えば、君の願いが叶うのももうすぐだってことくらい、分かるよ。
色んな人を横目に見てきたけれど、君ほど僕にまっすぐ語りかけて、一途に一人の男を想う人なんて見たことがなかった。だから僕は君に惹かれたんだろうね。
君が僕のもとに訪れるのは後何回なのだろう。
君が訪れる日を、指折り数えて待つ。
昼はぼんやりと行き交う人の数を数えながら。
夜はちかちかと瞬く星の数を数えながら。
僕は君の訪れを待つ。
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