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私が図書館から司書さんをひっぱって自室に戻ってくると、大変なことになっていた。本の山が、部屋のドアからあふれ出して廊下までなだれ込んでいるのだ。廊下を歩くと、普段は鳴らないようなギシギシという音がする。
エデはその本の山の前で、トランプタワーのように本を積んで遊んでいた。
「遊んでる場合か!!」
私はつっこむと、エデは心底残念そうな顔をして首を横にふり、それから楽しそうに本のタワーを崩した。
「遊んでる場合か!!」
私は不覚にも同じツッコミをしてしまった。
寮生たちが、何事だろうと後ろを通っていく気配がする。野次馬も集まってきたようだ。なんだ、またエデか、と不名誉なつぶやきが聞こえた。ぐうの音も出ない。
「いやはや……私も、実物を見たのは初めてです」
有翼人の司書さんは、口をあんぐりあけて本の山を見つめた。
「なんなんですか、この本は」
私が尋ねると、司書さんは答えた。
「これは『禁書・ニノベキ』です」
「なんですか、それ」
「周りの魔力を喰らって、2の累乗ずつ増殖していく本です。1冊の本が2冊に、2冊の本が4冊に、4冊の本が16冊に……」
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