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事態に気づいた寮生たちの悲鳴が聞こえ始めた。
ぼす、と音がして、本に埋もれていたエデが顔を出した。エデはまず私の顔を見て、それから悪魔ディアボリカの顔を見て、歯を見せてニッと笑った。
「エデ、逃げなきゃ」
私は、エデの手を引っ張って、寮の外へと連れて行こうとする。だがエデは立ち上がると、自分の杖を抜いて悪魔に立ちはだかった。
『ほほう、抵抗するのか小娘。だが人の身で我に歯向かうとは、身の程知らずもいいところよ!』
私はエデと悪魔を見比べた。体格差なら8倍以上あるのではないか。私はどうすることもできず、エデの背中に隠れるしかない。エデを置いて逃げるわけには行かない。
手のひらサイズだったエデの杖が、巨大なロッドになった。中心の宝石が、赤く発光しだす。渦巻くように、あたりの大気が吸い込まれる。杖の周りの空気が歪んできた。
「エデ待って」
発光し始めたエデの髪の毛を、私が引っつかんだ。
「炎魔法はダメだって。寮が燃えちゃうよ。私たちも無事では済まないって」
エデは私の顔を見て口をとがらせたあと、コホンと咳払いの真似をした。杖の発光がいったん消え、今度は宝石が青く発光しだす。
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