5 偶然の落としどころ(つづき)

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折しも、仕事帰りのこのタイミング。 同年代だろう宮仕えの身としては、その疲労の原因は察し易い。 だから、敢えてこの席では、彼女の仕事絡みからは話題を避けた。 それでも他愛のない会話の中で、少しだけ彼女の事が垣間見えてくる。 兄弟は弟で、一昨年に甥が生まれたこと。 七年前から、この町に住んでいること。 週末のジムが、一週間の気晴らしになっていることなど。 そして彼女は、フッと苦笑とも自嘲ともいえない歪んだ笑みに口元を 綻ばせた。 「なんていうか、この年齢って、特定の人でもいない限り誰かと休みを 過ごすっていう状況でもなくなるんですよね。 だから、必然的に一人が多くて。まぁ、それもまた気ままで良いんですけど」 ちょっとした時に、独りの寂しさは否めない。 だが、余程に気を抜いていられる相手でないなら、休みの日くらいは 一人のほうが気遣いの要らない分、気楽だ。 若くもない大人ならではのこんな矛盾した感情は、大祐も大きく頷ける。
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