7 友達候補

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7 友達候補

大祐が予想した通り、日々は何事もなく、いつものように淡々と流れて いった。 そしてその間に、やっぱり沢田からの連絡もない。 だが時は律儀に刻み続けられ、年末へと向かう忙しなさに流されている内に、気付けば季節はとっくに冬。 あの「偶然」からも、二ヶ月が経とうという師走の真ん中。 そこで、ちょっと驚くような事が大祐に起こった。 あぁ、今日も疲れた。 夜更けの入り口の空には、満月なのか、その前後なのか大きな丸い月が 浮かんでいる。 その下で、三時間あまりの残業の後、ようやく最寄り駅の駅舎を出て胸の内で呟いた大祐の第一声が、これ。 今の部署に異動してからというもの、実は毎年この季節に思う事がある。 営業でもない、経理でもない自分が、なぜ世間の「師走」の慌ただしい流れに乗っかるように忙しくなるのか。 そして、未だもってその理由が分からない。 実際いまだって、年内に上げろと言われている企画書は、企画自体を動かす ようになるのが来年の春。 通常から考えれば、企画が固まるのは三月で十分。 つまり、企画を揉む時間を考慮しても、企画書自体を仕上げるのは一月中で 間に合うはずだ。
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