6 テレパシー?

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うそ……。 なんと、それは笠原。 しかも、一人で苦笑いをした彼がスッと右に一歩ズレた途端、彼の目の前の 扉が音もなく開いた。 どうやら彼は、自動ドアだと思い込んで、隣のガラスの前に立って開くのを待っていたようだ。 プッ……。 真友子は、思わず小さく吹き出した。 そして、応対に出て来たらしい店員と話す笠原の様子を見ながら、店の前を 通り過ぎて真友子は再びわずかに首を傾げる。 あの自動ドア、見間違えるかなぁ。 だが、そう思った真友子の耳に先週の彼の自己紹介が蘇った。 初めまして、大好きです! あんな言い間違いをしてしまう彼ならば、もしかしたら見間違いもあるかも しれない。 そう思いながらちょっと立ち止まって振り返ると、店から出たらしい 彼の後ろ姿が、のんびりと遠ざかっていくのが目に入る。 でも、不思議となんか和むわね。 最初に掛かってきた間違い電話に始まり、その後の報告電話。 そんな事が次々と真友子の脳裏に蘇り、気付くと口元が淡く綻んでいる。 そして、再びスーパーへと向かい始めた真友子の足も、なぜかほんの少しだけ軽くなったように感じられていた。
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