馴染みの豪邸でのひととき

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 わたしは、神宮寺四郎。豪邸探偵だ。実は訳あって、びしょぬれのガウンを着ている。クリスマスから正月にかけて、記憶にはないのだが、どうやら、ブラック・ファントムとの賭けに負け、数日の間、醜態をさらしていたらしい。しかし、賭けに負けたのであって、勝負では、私が取り戻した格好になっているだろう。勝利宣言は、やつを捕まえるまではお預けだ。今は、ただ、俺の先を行くファントム野郎の思考を探るしかない。くしゃみをした私は、シャワーを借りることにした。 「ガウン、ここ置いときます~。バスタオルお願いできますか~?」 と、だけ打診し、私はシャワールームに入った。 冷えた体に、ホットシャワーとは、今年も春から縁起がいいやってなもんで、数日分の汚れを落とし、シャワーを満喫した。 「いや、ありがとうございました。」  バスタオルで、体をくまなく拭き拭った私は、次の瞬間、背中に冷たいものが走るのに気づいた。着替えがない。今度は、バスタオルを巻くのか?そう思ったのも束の間、バスタオルは、あまりに汗を吸いすぎていた。このままじゃ風邪を引く。くっ、またしてもブラック・ファントムの仕業か?  推理を始めよう。記憶をさかのぼるん だ。そうすればすぐにわかる。第7話を読んで分かった。ここには、まだ、ブラック・ファントムがいるじゃないか!シャワーでほっとしたところを、ガウンからバスタオル1枚へ。次は何を狙う気なんだ?連載も終わるのか?完全に想定の範囲が伸びきった私に、馴染みの主人は、下着とシャツを持って現れた。 なんだ、杞憂か。
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