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筵が敷かれ、その上に並んで座る罪人たち。
皆、後ろ手に縄で縛られ、足は別の縄で縛られていた。縄の端は背中側の杭につなげられて、逃げるに逃げられない。
どーん、刻を告げる太鼓が打ち鳴らされた。
「夜嵐の甚平、と配下の四名、近隣の百姓家を襲い、殺し、盗みなど繰り返す事、甚だし。よって、死罪申し付ける」
検使が書状を読み上げた。
地方の藩の主、稲葉篤則は刑務所に相当する施設を持っていない。刑罰は追放が基本だ。
武士が罪を犯せば、武家社会から追放して町人になる。町人が罪を犯せば、城下町から追放して、野山に住む百姓か木こりになる。野山に住む者が罪を犯せば、この世から追放・・・死罪となる。刑を決める殿に近ければ、情状が入る場合もある。しかしながら、下の者ほど、紋切り型の刑罰となりがちだ。
いよいよ、斬首役の登場。
木村藤兵衛は五尺の太刀を手にしている。換えの太刀は家人が持って続く。
息子の賢五は六尺の木刀を構えている。鉤付きの六尺棒を持つ家人たちが続く。
そして、刎ねた首を入れる大タライを引きずる家人たちも来た。
三郎は腰に大小を差し、少し離れて見守る。
大タライが賊の頭の前へ、夜嵐の甚平の膝前に置かれた。
鉤付き棒が縄を締め、前のめりの姿勢をとらせる。着物のえりを背中に引き、首筋を露出させた。
が、甚平は抵抗した。身を反らせ、首を刎ねさせまいとする。
ごん、賢五の木刀が甚平の後頭部を一撃。くうう、低い声で頭が前へ垂れた。
しゅっ、藤兵衛が太刀を振り下ろした。
ぽとり、頭が大タライの中へ落ちた。
血が吹き出した。胴の前側にいた家人は足を引いて、血をかわした。
鉤付き棒を外すと、頭の無い胴は力無く倒れて伏した。
やたーっ、うおおっ、見物人が声を上げた。
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