初雪が積もる朝

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初雪が脚を包むくらい積もった朝、カバンを背負った背の高い男性が一人歩いていた B「こんな朝早くに呼び出し、……人使いの荒い人だ」 と愚痴りながらも、時間通りに目的の場所につく B「……よっと、…こんな朝からお呼びですか、先輩?」 そう言って、先にそこにいたカメラを構えた背の低い女性に声をかける 先輩と呼ばれた女性は、声に反応してカメラを下ろしこちらを向く A「ああやっときたか、遅かったじゃないか」 B「いきなりの電でしたからね、何も用意していなかったので」 A「ふーん」 と、あまり申し訳なさそうな無表情で言う B「まあ、いつものことです……、それで?今回は何をすればいいんですか」 A「ん、とりあえずここに座って欲しい」 B「了解です」 と、言われるがままそこに座る すると女性は、座った男性の頭の上にカメラを置き、ピントなどを調整する B「……先輩、そろそろ三脚を買ったらどうですか?」 A「んー?私の身長にあった”支え”が居るから別にいいさ」 B「はぁ、それはどうも……あ、そうだ、これしばらくかかりますよね?」 A「ん、そうだね」 B「ですよね、……あったかいコーヒー持ってきたので、体が冷え無いように飲んでください」 そう言って、手だけを動かしてカバンから水筒を取り出し、先輩に渡す B「砂糖3つ、牛乳少なめ……でしたよね?」 A「ん、合ってるよ」 と、水筒を受け取り飲む A「やっぱり君のが一番しっくりくる」 B「どうも」 と、会話をしていた しばらくして、遠くから (ゴトン……ゴトン……) と、音がし始める A「ん、来たみたいだ」 B「そうですね……音が聞こえてきました」 A「じゃあ、じっとしてて」 B「わかってますよ」 二人はそのままじっとする さらに音が大きくなっていき、音の正体が見えてきた ラッセル車だ A「初雪のラッセル車は1年に1回だけ」 B「それを写真に収めたい……ですね」 A「うん」 女性は撮り逃さないように、しっかりと狙いを定める …ラッセル車が汽笛を鳴らす カシャッ…… B「ちゃんと撮れました?」 A「バッチリ」 っと、それまで無表情だった女性はニッコリと笑う B「(ふとした時の笑顔…ちょっとしたご褒美……と)」 カメラや、ブランケットを片付け A「じゃあ、学校行こうか」 B「ええ、行きましょう」 そう言って、二人並んで歩いて行った
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