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「……! …………!」  声を出してはいけない。息が乱れていく。身体が脳に突き刺さるような快感に震える。古いアパートが揺れないように身体を強(こわ)ばらせる。閉じようとする両足を男の手が止める。無理矢理両足を開かされ、骨太な手がクリトリスから更に奥へと滑り込んでくる。ヌルリ。そしてヴァギナの奥へと。  男の笑いを含む吐息が耳にかかる。不快さが俺を苛立(いらだ)たせる。それなのに俺の体内から出た分泌液を指に絡ませ、クリトリスへと滑らす男の太い指を拒否出来ない。 「…………!」 (止めて!)  誰かが心の中で叫ぶ。それは俺じゃない。 (快楽を求めてもいいじゃない。気持ち良いことは悦(たの)しまなくっちゃ)  誰かが心の中で高笑いをする。それは俺じゃない。  俺は身体を震わせる。気持ち良さが身体に広がり、それを止めようと必死になる。  脚を閉じようとしても邪魔され、男の指は益(ます)々(ます)速くなっていく。  俺の身体はビクンッ! と跳ねる。 (止めて!) (気持ちいい!) (助けて……マ……)  誰にも言えない。快楽は俺の理性を奪い、身体は快楽の頂点と共に足の指先までビクビクッと震える。  これがエクスタシーなのだと知らなかった、十四歳の俺。  女性として生まれた俺の身体は射精をすることがなかったのだった。
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