04.ロトの娘

4/4
66人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「これだけ見事な『儀式』は久しぶりだ。近年稀にみる大物だよ、『彼女』には逃げ切って欲しいが」  逃がす気はないとロビンの表情が告げる。狩りを楽しむ猫科の猛獣のように、男は獲物の抵抗を待っているようだった。 「ロビン、次のターゲットは?」 「コウキ自身が出向くのでなければ教えてもいい」  もったいぶった言い方をしながらも、ペンを手に取ると資料の裏にさらさらと2行ほど書き記して看守へ渡した。管理用に写真撮影を終えた資料がコウキの手元に届き、文字を食い入るように見つめる。  そこに記されていたのは、『公園の名称』と『白人男性』の文字のみ。 「急いで手配するといい。おそらく今頃殺されてしまっているだろうから」  慌てて立ち上がる看守とコウキを見送り、ロビンは笑みを深めて呟いた。 「もう手遅れだ」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!