05.破られたルール

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05.破られたルール

 見つかった被害者は、今までの死体と違った。  下腹部や胸部への攻撃に加え、今までは傷つけなかった顔に数回ナイフを突き立てられている。防御しようとしたのか、被害者の手のひらも切れていた。 「同じ犯人か?」  思わず首を傾げた捜査官たちの疑問も当然だ。模倣犯だといわれても納得しそうな現場だった。ロビンが示唆して発見された死体でなければ、コウキも混乱しただろう。  あの男が間違うとは思えない。使われた凶器はおそらく同じナイフで、傷跡は一致する筈だった。そうでなければ、あの男がこの公園の現場を言い当てた説明が付かなくなる。  眉を顰め、さっさと踵を返したコウキを呼び止める捜査官はいなかった。     
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