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0407という番号は僕の誕生日である4月7日のことだろう。物は試しにと僕の誕生日を入れてみたら、まさかのアンロック。
これにはさすがに少し、いやかなり引いてしまったが、
お陰で持ち主の素性を知ることに成功した。機能でついている予定表には僕の予定、行動が事細かに打ち込まれていて、この携帯の持
ち主は几帳面な性格であることが窺えた。そして下手をすれば警察沙汰になるであろうその証拠品を、うっかり忘れていくうっかり屋な一面も
知ることができた。いや、彼女のうっかりはかなり初期の段階からその片鱗を見せていたのだ。
ある日を境に枯れそうになっていた観葉植物が元気になったこと。
定期的に部屋が掃除されていたこと。
僕以外使わないベッドがなぜか暖かったときがあったこと。
入浴中ガラス戸を隔てた向こうの脱衣場で黒い影が何かを手にとって葛藤していたこと。
つい最近、風邪をひいた僕の枕元に家族には覚えがない風邪薬が置かれてあったこと。
一昨日から、女の子がくしゅんとくしゃみをする音が屋根裏から聞こえること。
本当はこんな物的証拠がなくても、はっとして動かなくなった彼女を見たときに、僕は確信していた。
屋根裏からファインダー越しに僕を見守り、観察していたのは彼女だと。彼女がもっと邪な人間であったなら、警察に相談することも考えられた。
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