クリスマスにはまだ。

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「ここがいいな」 「本当にやるのかよ」 「当たり前でしょ?見捨てる気?」 「だって……」 「部屋のカーテンは開けておくから、10時ぐらいには待機しといて」 「本当……なのか?」 「こんなことで嘘つくと思う?」 「確かにそうだけど、だって……実の父親と……」 「それを止めさせるために、頼んでるんでしょ?証拠を押さえて、弱みを握らないと」 「『ばらされたらお前も困るから、写真なんて意味がない』って言われたら?」 「前にも言ったでしょ?その時はケーサツか児童相談所に持ち込むって脅す」 「もしそうなったら、お前、どうやって生きていくつもりだよ」 「学校辞めてバイトでも何でもするよ」 「そんなのって……」 「現実的じゃないって、言いたいわけ?私が何も考えずに、勢いだけであんたに打ち明けて、こんなこと頼んだって、思ってる?」 「………………」 「あんた、ドーテーかもしれないけど、ネットとかでそんなんたくさん見てるでしょ?ビビんなよ」 「…………見たくない」 「は?」 「お前がそんなことしてるの、カメラ越しにでも見たくねえんだよ」 「あんたのそのしょうもない感情と、私が今抱えてる状況の重さと、比べてみろよ」 「……………」 「これ、渡しておくから」 「………うん」 「じゃ、頼んだよ。撮った写真、ネットに流したりしたら、殺すから」 「んなことしねえよ…………」 「信じてるから」 「…………あの…………。行っちまったか。クソ……どうする俺……。言われた通り写真を撮って、あいつに渡すか。それとも、写真をネタに俺と付き合ってくれとか……いや、それは流石に……」 「ふぉふぉふぉ」 「うわっ!何だお前?サンタ!?いや、そんな訳……」 「欲しいものを言ってごらん?」 「欲しいもの?いや、俺もうそんな歳じゃ……」 「ないのかい?何かあるだろ?例えばそう、おじさんの娘の心とか」 「娘…………まさか、お前!ぐっ…………」 「…………さて、どうするか。とりあえず、来てもらおうか」 「は、放せ、放せよクソッ…………」 「まだ意識があったか。もう一度殴ってやろう」 「あぐっ………………」 「ふ、所詮まだ子供か。かわいいものだ。さぁて、今夜は楽しいクリスマスになりそうだ…………」
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