優しい嘘 前編

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初めて晶と手を繋いだのは年が明けた初詣で人混みの中、はぐれるといけないからとかなんとか言って思い切って手を繋いだ。そうしたら反対の手で晶が柊平の手を繋ぐもんだから…俺は軽くショックで…だんだん不安になってきた俺は晶と二人きりで会う決意をした。 「お邪魔しまーす!洸平もう宿題終わった?私後少し…わかんないとこあってさ、柊平来たら教えてもらおうと思って持ってきたんだー。てか、部屋汚過ぎ!もうー!」 そう言って俺に背を向けると床に散らかった雑誌や服を拾う晶に俺は少し緊張した声色で言った。 「…来ないよ。」 「え?…」 「柊平なら来ないよ。」 「あ、そうなんだ…用事か何か?ちょっと電話でもしてみようかな?ねぇ、洸平電話しても…」 拾いあげた雑誌を手にした晶の後ろから勢いに任せて抱き締めた。触れた瞬間、晶の身体がビクリと震えるのが腕に伝わってきた。 「え…っと…どうしたの?」 「どうしたのって言われても困るけど…晶の事抱き締めたくなったから…」 驚いた顔で振り返り俺の顔を見上げる晶に俺は黙ってそのまま顔を近付ける… 「ごめん!待って…ごめん!本当ごめん!あの…ごめんね!!えっと…私…あの…」 「いや、俺の方こそごめん!いきなりとか嫌だよな!びっくりするよな…あーもう…本当ごめん。」 キスをしようと近付いたら持っていた雑誌でガードされてしまった。照れ隠しとかそんな事ではない…間違いなく逃げられたのだ。 そりゃそうか…急だったもんな…焦りすぎだよな俺。まだ付き合って2カ月くらいだし… 「2カ月だろ?キスくらいしても普通じゃないの?」 その日の夜、電話で恥を忍んで打ち明けた俺に柊平はあっさりとこう言った。 「おまえなー、人がショックを受けている所に追い打ちかけんなよ!あーどうしよう…すげぇ気まずくなっちゃったよ…」 「晶はすぐ帰ったの?」 「うん…気まずさに耐えかねて…笑顔引きつってたもん…やばいよな…嫌われたかな俺…」 どんどん情けなくなる俺の声に柊平は優しく慰めの言葉をくれる。
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