あの頃、俺は…

2/2
前へ
/4ページ
次へ
B「…何撮ってるんだよ。」 寒空の下、俺たちは近所の公園にいた。 A「”写真を撮っているユースケ”の写真。」 B「…そんなの、見ればわかるだろ。ふざけてると、コンクールに出す作品が撮れなくなるぞ。」 A「いーじゃない!”思い出”用に!」 そう言って小雪は、少しふくれっ面をした後、けらけらと笑って見せた。 B「良い写真は撮れたか?」 A「まあね…ねえ、また来年、ここで一緒に写真撮ってくれる?」 B「はいはい。」 A「絶対!約束だからね?」 B「わあーってるって!」 俺は、照れくささを隠すように、わざとぶっきらぼうに言った。 その時の俺は、まだ何も分かっていなかったのだ。 彼女がその公園を再び訪れることは、なかった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加