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命名「初芝オーシャンズ!」
「そう言えば翔子のお姉ちゃんってさー、カフェでバイトしてるんだっけ?」
沙織を映画に誘って断られてから数日がったある日、羽澄が机に顎を乗せてだれていると、二つ前の席で翔子と裕美が楽しそうに話しをしていた。
呑気なもんだ。同じクラスメイトがもうすぐ教頭の餌食になるかもしれないのに……。
羽澄は本人不在の後ろの席をちらっと見た。沙織は体調が悪いといって、二時間目が終わると早退してしまったのだ。今まで沙織が早退したことなんてなかったので、結衣や明里たちもかなり心配していた。
こんな状況で、もし沙織が教頭なんかと遊びに行ってしまうと、彼女はもう二度と人前に姿を現さないのではないか……。羽澄の心に余計な不安が浮かぶ。
エロ教頭のスキャンダルについては、今のところ進展はない。あれからも事あるごとに尾行は続けているが、教頭室にこもっているか、たまに職員室に顔を出しているかで目立った動きはなかった。
逆にそんな教頭を尾行している自分の方が目立ってきているようで、「今日も探偵ごっこ?」と、違うクラスの友達にからかわれる始末だ。
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