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事件勃発!
「二年六組の宮間さん。教頭先生がお呼びです。すぐに教頭室まで来てください」
ぼやけた意識の中でそんな校内放送が聞こえたので、羽澄は机からぬっと顔を上げた。両手を大きく天井に伸ばしながら、後ろの席に座っている沙織を見た。
「おはよう沙織……。なんか教頭先生が呼んでるって放送してたよ」
「うん……ちょっと行ってくるね」
心なしか、少し不安そうな表情で沙織は席を立った。
沙織は学年でもトップテンに入るほど成績が良く、現役で国立大学も間違いないと言われているほど。そんな彼女のことだからおそらく大学推薦か何かの話しだろうと、教室を出て行く親友の後ろ姿を見ながら羽澄は思った。
「ほんと沙織は凄いよなー……」
左手で頬づえをつきながら呟くと、まだ完全には立ち上がっていない頭をすっきりさせる為に、大きく欠伸をした。
「おーい、羽澄! お昼ご飯食べないのかー?」
潤んだ視界で窓側の席を見ると、机をくっつけてお弁当を広げている明里と結衣の姿が見えた。その瞬間、欠伸ではカバーしきれなかった意識が瞬時に立ち上がる。
「ちょっと! 私も食べるから置いてかないでよ」
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