彼女

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「どうして……」  私を呼ぶ鳴き声が聞こえたと思って振り向けば、そこにはぐったりと横たわるいつもの白猫がいた。  彼は車に弾かれるように宙を舞ったのかもしれない、弱々しい瞳が、その衝撃を物語っていた。  降り積もる雪でも、彼から流れていく赤い血を、覆い尽くしてはくれなかった。
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