好きだから

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「ふっ、もう何度も座ってるだろ」 書類から目を離してあたしを見る。 「あっ……久しぶりでつい」 久しぶりに見た惇生さんの笑みに胸がきゅうっとなる。 こうしているとあの頃に戻ったようで、胸が締め付けられる。 できることならあたしはまたここに通いたい。 執拗に追いかけられたとしても、ここにいたい。 少し異常なほどの愛情表現だけど。 あたしはこの人が好きだから。 「今はアイツと付き合ってるのか?」 「え?」 「風詩と」 惇生さんからの質問が意外すぎて、言葉が簡単に見つからない。 否定すればいいだけなのに、質問の意図がわからなくて簡単には答えられない。 「いや……あの」 「付き合ってるからってもう復讐とかしないよ」 書類を読み終わったみたいで、引き出しから印鑑を出している。 「そんなこと別に気にしてないです」 風詩と付き合ってないことを言ってしまうと、惇生さんのことを好きだとつい言ってしまいそうで。
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