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「どっち?」
判を押した紙を片手にあたしが座っているソファーに近づいてくる。
「……どっちでもいいじゃないですか」
惇生さんはあたしのことなんて本当は何とも思っていなかったんだから。
あたしはそれにまんまと騙されて、惇生さんにハマってしまった。
「よくない」
あたしの目の前に来たかと思えば、急にソファーからあたしを立ち上がらせる。
「惇生……さん?」
「久しぶりだな。楓」
あたしの頭を撫でる。
「久しぶりって普通、最初に言いませんか?」
そんなことを言ってる場合でもないあたしの心臓。
「最初は、まぁほらビックリしてさ」
ガシガシと自分の頭をかく。
「惇生さんでも戸惑うことあるんですね」
「そのぐらいあるよ。俺をなんだと思ってんだよ」
さっきから惇生さんはなんだか表情がとても優しくて。
あたしのドキドキは止まらない。
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