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「緊張するな」
お母さんの家の前。
緊張した面持ちでチャイムを押すと、〝ピーンポーン〟と音が鳴り、さらに惇生さんの顔が強ばる。
「はいー」
中からバタバタと足音がして男の人の声がする。
「げ、出てくんのあいつかよ」
なんて苦笑いしてる。
「楓!」
ガチャっとドアを開けて、出てきた風詩は惇生さんには目もくれずあたし笑顔を向ける。
「おい、社長を見ろよ」
「やだね」
ぷいっとそっぽを向く。
「つーかお前に用な……「風詩?誰だったの?」
遮って聞こえてきた声に、惇生さんが固まる。
「……惇生?」
玄関に出てきたお母さんは、惇生さんをみて目を丸くする。
「お久しぶりです」
あたしの繋がれている手は震えているのに、気丈に振舞ってぺこりと頭を下げる。
「久しぶりね」
惇生さんにそう返事をしてチラリとあたしを見る。
「あなたが……楓さん?」
「……はい」
惇生さんがずっと恨んできた人。
でも、あたしがずっと頼りにしてる風詩のお母さんでもある。
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