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雪
さらさらと雲から零れ落ちた雪は、ざらざらとしたアスファルトに触れ、瞬く間に姿を消した。ふわりと落ち、スッと消えた所にまた新たな雪が落ちて溶けてゆく。偶然、雪の上に降り立つ事の出来た幸運な雪が僅か瞬きの間だけ生き永らえるくらいだ。
一つ、また一つと同じ事が幾百も幾千もー幾億も繰り返される中、雪は激しさを増した。先程まではお菓子に振りかける粉砂糖のように優しく降り注いでいたが、今は小麦粉を篩にかているかのようだ。
刹那に失われる儚さを纏っていた雪も、こうなってはその美しさを保てなかった。冷たいアスファルトに降り落ちた雪の上に着地した雪はその命を数秒だけ永らえさせた。そこ生まれた数秒が積み重なり、黒いアスファルトが徐々に白く染まっていく。
そうして世界が死んだような静寂に包まれた頃、視界は随分と短くなり白く染め上げられていた。
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