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「これから私は新人達の様子を見に行くが、良ければ君達もどうだね?」
騎士団長によれば、そろそろ数人は竜の召喚に成功しているだろうとの事だ。
他の者がどのような竜を召喚するか、気にならない訳ではない。俺は肯定の意を示し、騎士団長と共に最初に来た広場へと向かった。
しかし、場に着くなり新人達に囲まれる。
隣に居たシャルロッテは、主に男の新人達に囲まれた。
「さっきの戦い、凄すぎます!」
「俺もあなたみたいに可愛くて格好いい竜、召喚します!」
「犬と呼んでください」
「あれでも本気出してないですもんね!? すげえ!」
まあ、規格外の大きさを持つシャルロッテだ。先程の戦いはしっかり見られていたようだな。
何やら竜騎士と思えない発言も聞こえた気がするが、空耳だろう。
「ふっ。わらわに気安く寄るでないわ」
言葉の割に、顔は嬉しそうだ。
目を瞑ったまま、謎のポーズまで決めている。
俺は俺で、何故か女性に囲まれていた。
改めて見れば、竜騎士も意外と女性が居るものだな。
「そのクールな目が堪らないです!」
「その面、取ってくれませんか! もっとお顔をよく見たいです!」
「私の指導係になってください!」
彼女らには悪いが、人の好意だとかそういうものは苦手だ。
元々、憎まれはしても好かれる事のない職だったからな。
「悪いが、邪魔だ。離れてくれ」
そう声をかけたが、女達は余計に騒めき始める。
なんと面倒なものか。
騎士団長がわざとらしく咳払いをした上で、助け舟を出してくれる。
「さて。竜騎士たるもの、雑念に呑まれ、責務を投げ出すようではいかんぞ」
そこでようやく、皆が散り散りとなった。
何人かはまた魔石に魔力を注ぎ始めたが、そうではない者の方が圧倒的に多い。
そこに騎士団長達が不在の間、代理を務めていたであろう男が耳打ちをする。
「前代未聞です。もう、大半の者がベビードラゴンの召喚に成功しました」
驚きに目を見開く騎士団長。
「なんと! 召喚に成功した者、こちらへ!」
ざっと数えただけだが、およそ五十人中、四十名弱が騎士団長の前に集まる。
そして、騎士団長の指示で魔石に魔力を注ぎはじめた。
どうやら、まだ契約には至っていないらしい。呼び出す際には、魔石を通さねばならないようだ。
それぞれの魔石が強く輝くと、白い子竜達が現れた。
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