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キスしそうなくらいの距離まで近づき、翼の瞳を見ていた目黒の視線が翼の唇へと移る。
「チーム長っ、まさか本気じゃないですよね?」
震えそうになる声をどうにか絞り出し翼は両手で目黒の肩を押さえた。
「…本気だが」
目黒はチラリと視線を上げ翼の瞳を見た。
「あのっ! キ、キスなんかで気持ちは伝わってきませんからねっ」
慌てる翼を見つめた目黒は、考えるようにして動きを止めてから「ああ、まあそうかもな」と納得して翼から離れシートに座りなおした。
長い足を組み直した目黒。
「じゃあ、どうすればいいんだ?もう、告白はしたぞ」
「私に聞かれてもわかりませんよ」
「冷たいんだな。お前は俺が嫌いなのか?」
「え?」
「嫌いなのか?」
翼は好きか嫌いかなんて次元で目黒を見たことがなかった。
会長のイケメンな孫で、完全なる上司だ。上司として以外には考えて見たことがない。
「まるで考えたことがなくて」
「もういい。答えるな」
「でも」
「今、お前に嫌いだと即答されたら、頭がどうにかなりそうだ」
「……」
窓の方へプイと向いてしまった目黒を黙って眺めてみた。
本気なのだろうか?
何故、チーム長みたいな人が、なぜよりによって私なんかを好きになったのだろう。
私がチーム長くらい地位も名誉も容姿も問題ない人だったなら、モデルとかミスなんとかになれちゃうような美人と結婚したい。
そう出来ると思う。
あえて私がいいとする何か特別な理由がチーム長には、あるのだろうか?
翼は、首を傾げ目黒を見続けていた。
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