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地下のパーキングへ行き、車へ乗り込む。運転は目黒だ。 シートベルトをしながら翼は目黒をチラ見した。 「あの、チーム長」 「なんだ?」 「具合でも悪いんですか?」 「あ? どうしてだ? 」 エンジンをかけ、助手席に座る翼を目黒は不思議そうにみる。 「だって、あまりにも…違うから」 「? なんの話だ」 「昨日と今日とではチーム長の態度が違いすぎて、なんだか…」 「ソバカス」 「え?」 「今は仕事中だろ? 公私の区別はつけるべきだ。それとも何か?お前は、仕事中もお前に対する俺の気持ちを蛇口を一気に捻るように溢れさせろとでも?」 「い、いえ! 決して、そんな意味じゃ」 目黒の手が伸びてきて、膝に置いていた翼の手に重なる。 「千葉のこともあるし、俺はお前に対して気持ちを溢れさせないように蛇口をきっちり閉めて我慢してる。前から気持ちを現すのは我慢してたから、かなり我慢には慣れてる。だが」 言葉をきり、目力を強め目黒は翼をまっすぐに見た。 「ソバカス、お前が望むならいつでも俺はお前に気持ちをぶつけられる。それを望むかどうかはお前次第だ」 目黒の圧倒的な目力に翼は完全に押されていた。 「わ、わかりましたょ、チーム長…」 「よし」 握った手をあっと言う間に離し、目黒は翼の頭にポムっと手を乗せて髪をくしゃっとした。 「今日も可愛いな、ソバカス。あとその服も似合う」 優しい目をして微笑む目黒を見て、翼は顔を赤らめた。 不意打ちだ。 公私の区別をつけるとか言った矢先に、反則だ。無駄に整った顔をして、優しく微笑んだりして。 どうしよう、心臓が破裂しそうなくらいにバクバクしてきた。 車という密室が急に息苦しく感じてきた。 自分の意思に反して病気みたいに激しく動く心臓をなんとかしたいと翼は胸の辺りを拳でおさえた。
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