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「だから、おまえが泊まるはずだったシングルの部屋は予約を取り消しておいたからな」 目黒は快調に車を飛ばしていく。 目黒の言葉に納得したように頷いた翼。 「ああ、そうですか。私のシングルの部屋は予約を取り消し…え?」 頷きながら、翼は気がついた。 あれ、なんで?そうなるんだろう。 ツインの部屋が取れたから、シングルの部屋を取り消し? 「ええっ?はあ?! どうしてですか?」 「ツインの部屋を予約したから、ベッドは2つある。2つあれば十分だろ。3つも無駄だ」 「だからって、え?だって、ほらっ私とチーム長は女と男ですよ?それで同じ部屋ですか?あり得ないですよ」 「経費削減だからなぁ、これも苦肉の策だ。俺も嫌なんだが仕方がないだろう」 「経費削減だからって!こんな話ってないでしょう普通」 あり得ない事態に翼は、憤慨していた。 「なんだなんだ?なんなんだよ、同じ会社の社員だろ?同じ部屋で泊まる。一体何が良くないんだ?」 目黒は、WHY?といい、外人みたいに手を上げるような仕草をした。 「いやいや、チーム長。お互い子供じゃないんですよ?ふざけてます?」 その言葉にムカついたのか目黒は後方を確認してから車を路肩に急停車させる。 停車させてから、目黒は翼の近くまでヌッと首を伸ばした。 「いいか、ソバカス。お前は会社の出張先で上司が部下に手を出すとでも考えたのか?うわっなんて嫌らしい妄想だ。どこぞの訳のわからない携帯小説か? いや?おまえ、それは心外だな。ナンセンスだ、これは驚きだ」 「だって…」 「俺を見損なうなよ。出張先で俺は部下に手は出さない。出したこともない。そんなエゲツない男にはならない! そんなことを、あーーーしかもなぁ、お前が言ってくるなんて」 口惜しげに唇をかみ言葉を切った目黒。 翼の顔を見てから、やがて悲しげにハンドルに手を置き、ため息をついた。
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