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目黒がブラックカードを長財布から取り出した。
「はい、かしこまりました」
他のスタッフも来て慌てて3人がかりで服を畳んだり包んだりし始める。
目黒から離れ店の入り口付近で、目黒やスタッフの様子を部外者みたいに眺めていた翼。
スタッフにカードを渡す目黒に近づき声をかけた。
「あの…」
「金なら気にするな。俺からお前へのプレゼントだ」
「ぷ、プレゼントってもしかして今買おうとしている服全部ですか?」
「ああ、安心しろ。女の服選びには慣れてる。サイズも見れば…わかる」
目黒に上から下まで見下ろされた。丸裸にされたように恥ずかしい気がして翼はマネキンの後ろに隠れた。
「いえ、あの慣れてるとかそういうことじゃなく、私にプレゼントなんて。どうして、チーム長が私に?」
「お前、まだこうなった成り行きの根本が理解出来てないようだな」
「はぁ。何が何だか」
「お前を安上がりな女とは言わせたくないから、服を買ってんだろが。明日からは高級な物を身につけろ。靴もアクセサリーも俺が用意してやるから」
「どうしてチーム長が?」
理由がわからないのにプレゼントなんかもらえない。
「ここでも恥ずかしいことを又言わせたいのかよ。全く」
呆れたように呟いてから、目黒は翼の耳元へ顔を寄せる。
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