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5月6日 日曜日。ゴールデンウィーク最終日。 最終日の今日を合わせて4連休。一日中机に向かって勉強するにはいい機会。 そんなことを考えていたのはクラスの中でも恐らく俺くらいだろう。 ゴールデンウィークに入る前日の教室は、それはもう軽くお祭り騒ぎで友人たちとどこかへ遠出する計画を練ったり、近場をブラブラと散策する予定を立てたりと、忙しない様子が窺えた。 俺も誠と輝彦に「映画でも観に行かないか」と誘われはしたが、渋々断ることにした。 付き合いの悪いやつだと、多少は思われたかもしれないが、こういったことは別にこれが初めてというわけでもなかったし、きっと2人なら理解してくれるだろう。 秀才である俺は、少しでも努力を怠ればまたあの頃と同じただの凡人に戻ってしまう。 白月に本当の意味での凡人だと、蔑まれることが怖くて、惨めで、悔しくて…… だから、少しでも時間があれば勉強に取り組むようにしている。 6年前からずっと続けている俺の日課だった。 けれど、ゴールデンウィークに入る前日の放課後、誠と輝彦と別れて家に帰ろうとしていた時のこと。またあいつがやってきた。     
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