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自分が「凡人である」と明確に理解したのは、俺が11歳の頃だ。
それまで俺は『天才』と呼ばれる者に出会ったことがなかった。
【天才】:天性の才能、生まれつき備わった優れた才能を持つ者。人の努力では至らないレベルの才能を秘めた者の事。
辞書なんかで意味は知っていたけれど、実際に出会ったことはなかったので、仕方なく図書室に置いてある『世界の偉人シリーズ』を読んでは、天才がどういう者なのかを理解しようと試みたりした。
優秀な奴らはクラスや学年に少なからず存在したが、それでも良くて秀才止まり。
だから、そんな秀才たちを見ても「きっと、ものすごい努力をしたんだろうな」くらいにしか思わなかった。
努力を続けた先の終着点が『秀才』であるという事を俺は知っていたから。
そんな俺の前にあいつが現れた時、俺は初めて『天才』を実感した。
それと同時に、自分は決して天才にはなれない。一生凡人のままであるということを理解してしまった。
新任して間もない担任の女性教師が「新しい仲間が加わる」と言って彼女を紹介するまでは??
「初めまして。白月蒼子です。よろしくお願いします」
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