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「うるせぇ。話しかけんじゃねぇ。天才が感染(うつ)る」 あの頃から一つだけ変わったことがある。 それは、俺が『凡人』から『秀才』にグレードアップしたこと。 努力とは無縁だった俺が、死にものぐるいで努力して秀才にまで登り詰めた理由は、「凡人」と罵ってくるこいつに一度でいいから勝利したいと思ったから。 心の底から嫌悪する『天才』に一泡吹かせるために、俺は努力をすることにした。 そうして長い時間をかけて、努力の行き着く先の『秀才』にたどり着いたものの、天才であるこいつにしてみれば俺はいつまでたっても凡人のままだった。 「凡人の分際でよくそんな口の利き方が出来るわね。感心するわ」 こいつはあれから6年一切変わることなく、口を開けば「凡人 凡人」と俺のことを罵ってくる。 そもそもどうして6年間もこの俺に付きまとうのか、全く訳がわからない。 中学は全員が同じ地区の学校に通うことが決まっていたため疑問を覚えることはなかったが、まさか高校まで同じところに進むとは考えもしなかった。 だから去年、この学校の入学式でこいつを見かけた時は驚きを通り越して、まるでどこまでもついてくる影法師みたいなやつだなと恐怖した。     
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