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「天才である私と釣り合う友達なんていないわよ。人間と猿が意思疎通出来ないように、天才と凡人では価値観も、思考も何もかもが違うの。だから私に友達が出来ないのは性格のせいじゃなく、才能の差のせいよ。わかったかしら?凡人くん」 こいつ、俺が殴らなくてもいつか他の誰かにボコボコにされそうだな。 「そうですね。凡人の僕には天才様のお考えなどこれっぽっちもわかりません。それじゃあ凡人の僕は凡人らしくこれからお友達と放課後の憩いの時間を楽しんできますので、それではまた」 このままこいつに付き合ってるとそれこそ馬鹿を見る。 俺はそう言って適当に罵倒を受け流すと、早々に茜色の夕陽が差し込む放課後の教室を出て、俺と同じ『凡人』である友人が待つ校門前に向かって足を急がせた。
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