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周りには隠しているつもりなのだろうが、私には彼が『嫌悪』や『苛立ち』といった感情を私に対して抱いていることに気がついた。 その時、私は初めて芸持ちのライオンなどではなく『1人の人間』として見てもらえたような気がしたのだ。 だから私は彼に自分から声をかけることにした。 接触を続けていくうちに、彼は私のような『天才』を酷く嫌っているということが分かった。 それでも、私は彼への接触を続けた。 彼と一緒にいる時だけは『天才の白月 蒼子』としてではなく、どこにでもいる普通の少女でいることができたから。 欲を言えば、彼には『天才の苦悩』というものを知ってもらいたいと思った。 今まで一切口に出さずにしてきた弱音を彼の前で吐き出すことで、彼に私の唯一の理解者になって貰おうとも考えた。 しかし、心から『天才』を嫌う彼がこの事を知れば、きっと私の絶望する顔見たさに本気で距離を置こうとするだろう。 そうなられては困る。 だから私は敢えて彼にキツい言葉を浴びせ続け、彼が私のことを常に意識するように仕向けたのだ。 そんなこととはつゆ知らず、彼は今日も私の挑発に乗ってくる。 「ねぇ、皇くん。凡人って普段何を考えて生きてるの?猿の……凡人の考えることってあまりよく理解できないから教えてくれないかしら?」     
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