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「だって実家に帰ったらあんたたちが育ったあと自由に遊べないでしょ?ジョージが二十歳になってもまだやっと四十代が始まったばかりなんだから。その頃はそれを目指して働いてたの」
つまり、やや口うるさい自分の母親との同居が嫌だったのだ。ミホナと母親の仲が悪いわけではなかったが祖母は少し神経質なところがあり、思春期ならばたしかに反抗しても分からなくもない度をこした心配症なのだ。
だがいい年をして自分が遊ぶことを見据えるなんて、私からすればよくやるよと思った。遊ぶなとは言わないし好きなことをしてもいいけどいい加減落ち着いたら?と思ってしまう。
しかしミホナはその目的を見事に達成しようとしている。
現在私は二十歳になり高校を出てすぐに働き始めたので社会人としてなんとか一人でやってきている。今は実家を離れて一人暮らしをしているところだ。弟のジョージは高校二年生で卒業すれば働くつもりらしいのであと一年ほど子育て期間を残しているのみである。ミホナの中での区切りとしては二十歳なのだろうが十八歳でも社会人になれば終わったも同然だ。
なんの苦労もなく高校まで出してくれたことはありがたいのだが、私はミホナに対して百パーセント感謝をしているかと言われると首を素直に縦に振れない。
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