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そこにいたのは予想していたとおりの人物、私の母親であるミホナと予想していた通りだけど知らない中年男性が仲良く眠っていた。二人とも服は着ているけどミホナはワンピース前ボタンが上から三つほど外れていてど派手なラメが入った紫の下着が見えている。一方中年男性は普通のスーツだが生地の感じがあきらかに電車通勤で見るサラリーマンのものと違った。
布団をはがしてもまだ眠りこけている二人からはアルコールのにおいがする。私は風が冷たくなった季節にも関わらず窓を全開にした。
「起きなさい!二人とも。っていうか何してんのよ。あんたたち!」
近所迷惑かもしれないけどそう叫んで二人を揺らし、捨てるのが面倒でベッドサイドに置いていた空のペットボトルで二人の頭を交互にたたいた。
これくらい許されるだろう。娘の部屋とはいえ男をつれて勝手に上がり込んでいるのだから。
何発かたたいたところでようやく二人は起き上がった。
のっそりと起き上がるのだが体臭やら香水やら化粧やらのにおいがさらに濃くなってきたので台所に行って換気扇も回した。
二人は寝起き特有のうなり声やらあくびやらをして体をほぐしている。洋服のまま眠ったということもあるしシングルベッドで大の大人が二人眠っていたのだからあちこち固くなるのはわかる。でも私にとってはそのしぐさすらイラつくものだった。
「何してんのよ母さん。来るなら来るって言ってよ。っていうか誰?このおっさん。知らない人を連れ込まないでって言ってるじゃない!」
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