人生の待ち時間

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助手席側からタカくんを見ると、何もしていなかった。……怒っている様子もないけど……溜め息をついて、助手席に乗り込んだ。 「遅れて、ごめんなさい。……なんか、顔赤くない?」 謝りながらタカくんの顔を見れば、うっすらと赤くなっている。妙にツヤッとしていて、顔色がいいって感じ? 「えっ!?そうかな……」 タカくんの目が泳いだ。あれ、なんかいい匂いもする……? 「タカくん、いい匂いもするね。……シャンプーとかの匂い?」 「っ!……アイ、ごめん!」 タカくんが、ガバッと頭を下げた。私は、訳がわからずに戸惑った。 「えっ!?何?どうしたの、タカくん」 「実はさ、隣町の温泉施設に行ってたんだ」 「温泉!?」 私たちが住んでいる県は、温泉が豊富にある。私が住んでいる町には、スライダーなどかある町営の温泉プールがある。 ……だから、隣町の温泉なんだ……て、納得してる場合じゃない! 「昨日、飲み会だっただろ?風呂入らずに寝ちゃったから、朝、シャワー浴びようと思って。なら、いっそのこと、温泉でも入るかなって」 タカくんは気まずそうに笑って、頭を掻いた。 「俺も、さっき来たところ。アイが待ってたらどうしようって焦ってたから、ちょうどよかった!」 「っっ!!」
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