26人が本棚に入れています
本棚に追加
助手席側からタカくんを見ると、何もしていなかった。……怒っている様子もないけど……溜め息をついて、助手席に乗り込んだ。
「遅れて、ごめんなさい。……なんか、顔赤くない?」
謝りながらタカくんの顔を見れば、うっすらと赤くなっている。妙にツヤッとしていて、顔色がいいって感じ?
「えっ!?そうかな……」
タカくんの目が泳いだ。あれ、なんかいい匂いもする……?
「タカくん、いい匂いもするね。……シャンプーとかの匂い?」
「っ!……アイ、ごめん!」
タカくんが、ガバッと頭を下げた。私は、訳がわからずに戸惑った。
「えっ!?何?どうしたの、タカくん」
「実はさ、隣町の温泉施設に行ってたんだ」
「温泉!?」
私たちが住んでいる県は、温泉が豊富にある。私が住んでいる町には、スライダーなどかある町営の温泉プールがある。
……だから、隣町の温泉なんだ……て、納得してる場合じゃない!
「昨日、飲み会だっただろ?風呂入らずに寝ちゃったから、朝、シャワー浴びようと思って。なら、いっそのこと、温泉でも入るかなって」
タカくんは気まずそうに笑って、頭を掻いた。
「俺も、さっき来たところ。アイが待ってたらどうしようって焦ってたから、ちょうどよかった!」
「っっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!