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私は、口を開けたまま固まった。日帰り温泉施設で、ひとっ風呂浴びてから来るなんて……!!
一瞬、敗北を感じた。……イヤ!このくらいで、諦めちゃいけない!絶対に、タカくんを怒らせるのだ。「いったい、何分待たせるんだ!」と、言わせてみせるのだ。
そうしたら私は、こう言い返してやる。
「はっ!?分単位で待ったくらいで、何エラソーに言ってんの?私はね、タカくんからのプロポーズ、数年単位で待ってるんだからっっ!!」
私は空を見つめ、両手で拳を強く握った。そんな私に、タカくんは怪訝な表情を浮かべる。
「アイ、俺一人で温泉に行った事、やっぱり怒ってる?ごめん!次は、二人で行こうな!」
「・・・」
優しい笑顔を浮かべたタカくんを、私は、無言で見つめた。
私のこの無意味な戦いは、いつまで続くのだろう──
END
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