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走り出したわたしを見て、千英は手を振って応えてくれた。
鈴木 千英(スズキ チエ)―…。
わたしと同じ、中学一年生。
そして―…。
わたしの初めて親友と呼べる人。
小学生の時に、転入して来たわたし。
一人になる事が多かったわたしに、気付いてくれたのは、千英だった。
ものすごい早さで仲良くなって……呼び捨てで呼び合うのに、時間はかからなかった。
「千英、どうしたの?遅くない?」
「明に言われたくないなぁ……」
千英が含み笑いをした。
わたしは目を泳がせ、同様してるのが丸分かり。
「さっきね、道を訊かれたの」
「誰に?」
「分かんないけど……多分、転入生かも。ここの制服着てたし、道が分からなかったみたいだし……結構かっこ良い人だったよ」
千英の説明を聞いて、わたしは黙り込んだ。
その人も、独りぼっちになってしまうんじゃないかって……。
経験がある故に、心配になってしまう。
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